午前0時に口づけを



私は不覚にも照れてしまったことを隠すために、

わざと、ツンとした態度で話す。

「それ、セレナにも言われたわ。」

「そーかそーか。でも、しばらくは俺以外甘えらんねーぞ?」

確かにそうかもしれない……。

「ねぇ、レッド。私は、この道を選んで良かったの?」

静かに聞いた。

父上が裏の仕事をしてたことなんてとっくの昔に知ってたし、伯父上が関わってることだって、当たり前に知ってる。

だからこそ、父上は、私にバルニエール家をつがせることを反対し、フレッドを、養子にしたのかもしれない……。

「知らね。俺は、お前と契約した。それだけだ。ひとの気持ちってやつには興味がない。」

「そう。」

私はひとこと言って、大きなあくびをする。

「セイル、ジュリエッタ様になんて言葉遣いなの⁈」

「セレナ、聞いていたのか?」

「ええ。ですが、決して口外いたしません。私は、お嬢さまのしもべですから。」

そういう問題じゃないのだが……。

「それより、ジュリエッタ様、準備のお手伝いにまいりました。」