午前0時に口づけを



「シリル、もうすぐ帰るそうね。シェーンフィルダーの、お屋敷は、元に戻ったのね?」

そうらしいと、シリルは、頷いた。

「心配しなくても、会いに来るから。」

一人でこの屋敷にいたくない。

でも、たくさんの人はいれたくない、

いつ、なにが起こるか、わからないから。

「しばらく、一人にして欲しい。」

使用人たちの、驚く声が聞こえた。

それと、凛とした声。

「私は、でて行きません。何があっても、伯爵のそばにいさせてください。」

セレナの声だった。

「料理も、裁縫も掃除も、この屋敷の警備も、私一人でなんとかしましょう。」

セレナの声に、使用人たちの、声が上がる、

「私も、私も、お側に!」

「みな、主人は私だ。シェーンフィルダー家を紹介する。だから、頼む。」

「わかりましたわ。でも、いつか、また雇ってくださいまし。それまで、私たちはお待ちしております。」

一人がそういうと、

たくさんの人が続く。

「ただし。セレナだけは、残らせていただきます。」

「わかった。」

私は、しっかりと頷いた。

それから、と続ける。

「いつか、また、ここで働いてもらう時が来たらのために、紹介しておこう。私の執事の、セイルだ。」

セイル、

それは、レッドの化身。

なぜか、実体化もできるらしく、執事になるといい出した。

「急ですまないな。昨日いきなり決めたのでな。」