午前0時に口づけを



やっぱり、ブリエ伯爵令嬢に比べて、美人だ。

うん。

綺麗な、栗色の髪。

つやのある唇。

女の私から見ても絶世の美女。

「そうですか。レディ、それまでの間ご一緒にいかがですか。」

私は、にこっとそう聞いてみる。

今日の目的は、王太子殿下、それから5大貴族に挨拶すること。

他の貴族は話しかけられたら返すだけ。

「まぁ、嬉しい。でも、ご迷惑ではなくて?」

「構いませんよ。」

私の言葉に、アルドゥアン子爵が答える。

ブリエ伯爵が杯を片手にこちらへ歩いてくる。

「私も混ぜていただけますか?」

「えぇ。もちろん。」

私ではなく、侯爵令嬢が返事をする。

「バルにエール伯爵。本日はシェーンフィルダー公爵はいらっしゃらないのですか⁇」

「いらしていますが、陛下に、お会いしています。すぐにこちらに顔を出すと、おっしゃっていました。」

私はたんたんと答える。
パーティなんて退屈だ。

ただ、談笑するだけじゃない。

「アンジュ。」

侯爵閣下が令嬢に声をかけた。

令嬢も後ろを振り向いて笑った。

「お兄様。お待ちしていましたわ。」

令嬢の声はなんだか嬉しそうだった。

「お兄様、伯爵とは初めましてでしょう⁇ご挨拶なさって下さい。」

そう言えば、私も、彼もこういうパーティーはあまり顔を出さないことで有名だった。

「初めまして。トーマ・エモンともうします。以後お見知り置きを。」

たんたんとした話し方。

でも、何だか、心地よい声。

「初めまして。エモン侯爵。ジュリエッタ・バルニエールです。」