午前0時に口づけを


「お父上の葬儀には行けず、申し訳ございませんでした。」

「いえ。ミシェル様がいらっしゃってくれました。」

「ミシェルが・・・。」

子爵はびっくりした顔をする。

アルドゥアン家の次男と言えば、変わり者で有名なのだ。

「子爵、奥さまは来ていらっしゃらないのですか?」

「ブリエ伯爵令嬢に捕まってます。しかし、ブリエ伯爵令嬢がミシェルと縁談の予定だと言いふらしておいでだとか。」

「ええ。私もお聞きしました。」

子爵は本当に困ったような顔をした。

「実は、ブリエ伯爵と、この件はなかったことにしようといっていたのですが。」


「え?」

伯爵って令嬢のお父上なのに・・・?


「王太子殿下の花嫁に、5大貴族から二人、推薦しろとのお達しで。伯爵は当主ですので、除外されます。あと、年頃の娘がいるのが、ブリエ伯爵と、エモン侯爵だけです。セレナは生きていれば、選ばれていたでしょうが・・・。」

かつて、彼の娘は事故で亡くなったと聞く。

5大貴族のなかでも、子爵が一番年上のため、子供たちの年齢も高い。

私やシリルは低いほうだ。

「お話し中失礼いたします。アンジュ・エモンでございます。伯爵、お父上の葬儀に出席できず申し訳ありませんでした。そして、本日はおめでとうございます。」

「ありがとうございます。エモン侯爵令嬢。ところで、侯爵閣下は・・・?」

確か、先代はおととし亡くなったはず。

侯爵兄妹の両親は若くして亡くなっていたし。

「兄は、王太子殿下にご挨拶しておりますわ。」