午前0時に口づけを


「ミシェル、であってるのかしら。」

私は初めてであった時の口調に変える。

彼は黙ってうなずいた。

「そう。じゃぁ、なぜあの場所にいたのか聞かせていただける?」

「伯爵の父親には世話になったから。っと、レディのおじい様な?」

今、私が伯爵のため、伯爵って気軽に言えないもんね。

「今、私のことはレディでいいわ。父のことを伯爵で。」

彼はまた、軽くうなずいた。

そして話を続けた。

「伯爵の父親には、親父が世話になってな。貧乏貴族のアルドゥアン家が、今子爵の位置にいるのは、伯爵の父親のおかげ。俺が、軍にいられるのは伯爵のおかげ。で、毎月決まった日に墓参りさせてもらってた日が、伯爵の葬式の日だったってわけ。」


「今、ここにいる理由は。」

「俺、問題起こして、逃げてる最中。軍では偽名だったし。」

今しかない。

今なら彼に、恩返しができる。

「逃げるのが無理だと判明したら、私の家にいらっしゃい。匿うわ。」

「ありがとな。レディ。」

彼が少しだけ微笑んだ気がした。

「それと。、もう勇ましい真似はするなよ?」

彼は私を見てにっこりほほ笑んだ。

その笑みは、まるでからかうような様子はなく、

純粋に、笑っていたようだった。

まぁ、セリフと会わないけどね?!

しかも、言い逃げした。うん。私の言葉きかずに逃げた。

「何よっ。」

私は、小さな声で、言い残した。

「レディ・ジュリエッタ。」