「君が、ジュリエッタだね。」
王太子はいきなり私の名を呼ぶ。
「お初にお目にかかります。王太子殿下。」
「フランシスで構わないよ。皆、そう呼んでいるし。」
私は、その言葉ににっこりほほ笑み、言葉を返す。
「いえ。そういう訳には参りませんので。」
王太子殿下は少しつまらなさそうな顔をした。
しかし、私にとってそんなことどうでもいい。
「一つ心配なのだが、君のような、か弱い女性に騎士が務まるのかい?」
私は、一応、男より強い自信がある。
「もちろんです。男性にも負けないと自負しておりますが。」
「・・・ははっ。君みたいな自信家は嫌いじゃない。でも、時には守られるお姫様でいたほうがいいと思うよ?あそこで、シリルが僕に手を出されないか心配してるみたいだし。」
「ふふっ、王太子殿下、また、明日、正式にごあいさつに参ります。」
私はそう言い残し、王太子殿下のもとを離れた。
「ごきげんよう。伯爵。」
「ごきげんよう。ブリエ伯爵令嬢。」
今度は伯爵の仮面をつける。
さっきのは、王太子の忠実な部下の仮面。
「お久しぶりねぇ。またぁ、綺麗になってるわねぇ。」
ブスのくせして厭味ったらしく言う。
どうしたら、あんな、ブリエ伯爵のような、美しい男性から、こんなブスが生まれてくるんだろう。。。
「ありがとうございます。令嬢も、お変わりなく。」
「そぉ、相変わらずぅ嫌味がぁお上手だ事ぉ。」
って、それはお前だろうがっ!!
私はそう叫びたいのを我慢する。
「そぉそぉ、わたくしぃ、縁談の話が来てますのぉ。うらやましいかしらぁ?、でもぉ、あなたはダメねぇ。まだ14ですものぉ。おーっほっほっほっほ。」
きたぁ・・・・。高笑い・・・・。
「お相手はぁ、あのお方なのよぉVv」
あれは・・・?
「アルドゥアン家次男、ミシェル様よぉ!!」
アルドゥアン家って軍には関係ないはずじゃ・・・?
騎士団ならあり得ても・・・。
「なんでもぉ、お家にぃはんしてぇ、軍に入ってるとかぁ。男らしいところとかぁ、惚れちゃうわよねぇ\\\」
あの、ミシェルに似てる・・・。
「伯爵令嬢、ミシェル様をご紹介していただけませんか。」
「嫌よぉ。なぁに、惚れたのぉ?」
「違います。知人に似ていまして。名前も同じなので。」
「そーぉ?それならいいわよぉ。」
こいつが役に立つなんて思ってなかった。
うん、
役に立ってよかったね。


