午前0時に口づけを



***

私は、入り口の前に立つ。

入り口の向かい側には、伯父上がいる。

国王陛下もいる。

貴族の皆様も控えている。

「レディ、ご入場です。」

隣にいた衛兵に囁かれ、扉があくと同時に私は歩き出した。

目の前に陛下がいる。

「ジュリエッタ・バルニエール伯爵令嬢、貴公を、バルニエール伯爵として、王宮に迎える。」

陛下にそういわれ、頭を下げる。

「頼むぞ。」


「御意。」

私は顔を上げてこたえる。

陛下の顔は意外にも優しそうだった。

昔から聞いていた、陛下像とは違っていた。

その後は、立食式のパーティーになった。

陛下はいない。

ただ、王子たちは出席してくれていた。

私は、貴族でありながら、王太子の騎士団長を務めなくてはならない。

なぜなら、父上の跡を継ぐため。

騎士団の団長になってしまった理由は簡単。

父上が騎士団長だったため。

そして、副長に指名されたため。