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私は、入り口の前に立つ。
入り口の向かい側には、伯父上がいる。
国王陛下もいる。
貴族の皆様も控えている。
「レディ、ご入場です。」
隣にいた衛兵に囁かれ、扉があくと同時に私は歩き出した。
目の前に陛下がいる。
「ジュリエッタ・バルニエール伯爵令嬢、貴公を、バルニエール伯爵として、王宮に迎える。」
陛下にそういわれ、頭を下げる。
「頼むぞ。」
「御意。」
私は顔を上げてこたえる。
陛下の顔は意外にも優しそうだった。
昔から聞いていた、陛下像とは違っていた。
その後は、立食式のパーティーになった。
陛下はいない。
ただ、王子たちは出席してくれていた。
私は、貴族でありながら、王太子の騎士団長を務めなくてはならない。
なぜなら、父上の跡を継ぐため。
騎士団の団長になってしまった理由は簡単。
父上が騎士団長だったため。
そして、副長に指名されたため。


