午前0時に口づけを


「シリル、伯父上。お待たせいたしました。」

「いや、待ってないよ。それより、ジュリ。」

「なんでしょうか。」

今までの私なら、〝なんですの伯父様?〟と答えている。

しかし、今の私は違う。

私は私を封印したんだ。

「その言い方どうにかならない・・・?」

「伯父上。私は、バルニエール家当主です。もう、ただの令嬢ではないのです。」

伯父上は一瞬驚いた顔をして、でもすぐさま、微笑んだ。

「あまり、好きじゃないけど、そう決めたのなら、もう何も言わないよ。」

伯父上に、頭を下げ、私は歩き出した。

「では、伯父上。行きましょう。」

シリルは爵位がないためお留守番。

伯母上はアリーがいるため遠出をしたくないとのこと。

私は伯父上とともに馬車へ乗り込んだ。