午前0時に口づけを



「何がおかしい。」

くすくす笑っているセレナをキッと睨む。

「フフッ、どんな感じで髪を結えばいいのですか?」

「男性的に見えるようにできるか?」

セレナは頷いて微笑んだ。そして、髪に触る。

少し、髪を見つめていた後に、ひらめいたように

顔を輝かせ、忙しそうに手を動かしだした。

「普通に、髪を上げるのではおもしろくありませんものね。」

そう言いながら、手を動かしていく。


やがて・・・

「完成っ、どうですかお嬢様?」

「お嬢様じゃなくてジュリと呼んでほしいのだが・・・。」

「どうですか?ジュリエッタ様。」

まぁ、いいか。

「あぁ。いい感じだ。」

「じゃぁ、謁見用の服をお持ちいたします。」

「頼む。」

私は、鏡を見た。

まだ、〝少女〟の面影が残る。

女性で爵位を継いでいる人が、いないわけではないが、やはり

女性の顔だちをしている。

なめられないように、しっかりしないと・・・。