「ミシェルさん?」
「サンなんていらねーよ。お嬢さん。」
私は少しいらっとする。
お嬢さんと呼ばれ方はなんだか好きじゃない。
「お嬢さんじゃなくて、ジュリって呼んでいただけないかしら?私、お嬢さんとか、お嬢様とか好きじゃないの。」
「俺、貴族じゃねーし、じゃぁ、レディ?」
まだこっちのほうがマシかしら・・・?
お嬢さんよりは。
「ねぇ、やっぱり姓は教えていただけないかしら?借りを返したいのよ。」
ミシェルは、少し黙って、私に向けて言った。
「今度、出会ったときに。じゃーな。レディ。」
私は、止めようとしたが止められなかった。
「お母様、お父様、私、強くなります。そして、さっきの彼が困ったときには助けられるようにします。もちろん、シリルたちも支えられるように。見ていてくださいね。」
私は、屋敷に向けて歩き出した。
お墓のほうには振り向かなかった。
「ジュリ、どうかしたのか?」
「シリル、悪いけど、父上と母上とフレッドのお墓の周り掃除していただけるかしら?」
私はそれだけ言って、シリルを置いて、今度こそ屋敷へと向かった。


