午前0時に口づけを



「シ・・・リル?」

「起きたのか。ジュリエッタ。」

私は軽くうなずく。

時計を見ると、もう5時をこえていた。

「3時間も眠ってた・・。」

「うなされてた。どうかしたのか?」

「。。。悪夢・・・。」

悪夢、そう悪夢なのかもしれない。

でも、悪夢じゃないのかもしれない。

分からない。

何が何だかわからない。

確かに私は夢を見た。

怖い夢だった。でも何だか、怖くない気もした。

どっちなんだろう。

分からないことが逆に怖くて怖くて仕方がない。

「僕がそばにいる。」

「明日。お父様たちの葬儀・・・私しっかり喪主を務める。だから・・・今だけ泣かせて・・・?」

シリルはやさしく微笑んで頷いた。

「おいで。」

私は躊躇なく彼の腕に飛び込んだ。

それは、幼い時以来だった。

幼い時一緒に迷子になった時以来・・・。

「私がっ、フレッドじゃなくて、私が敵に立ち向かっていけば・・・フレッドは死ななかったのに・・・!!」

「ジュリエッタが死ぬことをフレデリックは望んでなかったはずだ。叔父上も叔母上も。もちろん、僕たちシェーンフィルダ-家全員も。」

それでも、私は。

一人ぼっちなんかになりたくなかった。。。

なんだ視界が悪くなってきた。

きっと涙なんだ。

まだ私には涙が残っていた。

<今のうちに泣いておけ。>

頭でレッドの声が響いた