<大丈夫か。>

頭の中でレッドの声が響く。

<大丈夫よ。、、っ。>

痛い。

頭がいたい。

「ジュリ、どうした?!」

「いえ、大丈夫ですわ。」

「顔色が悪い。横になったほうがいい。お父上。ここは僕が。」

いつからいたのか、シリルが平然と後ろに立っていた。

今、シェーンフィルダー家は我が家に泊まっているし、いてもおかしくはないけど、

お父様の書斎には、昔から入ってきたことはなかったはず。


「任せるぞ。シリル。」

「だ、だいじょうぶですわ!!」

私は、今はまだ当主じゃないけどこの家は私が守っていくべきなんだ。

私以外守る人なんていない。

「気がはりすぎだ。少しは休め。昨日一睡もしてないだろう?」

何でばれたんだろう、徹夜ってこと・・・・・。

「だって・・・。」

<今のうちに寝ておけ。爵位をもらったら忙しくなるに決まってる。>

眠りたくない。

怖いから。

眠っているうちに誰もいなくなる気がするの。

<誰もどこにも行かない。俺は絶対お前のそばにいる。>

お父様の言葉とかぶる。

小さいころ、私が熱を出してしまったとき、

お母様は里帰り中で、フレッドは、

シリルと一緒に、シャルロット伯母様の家に行っていた。

私とお父様だけだった。

泣きじゃくる私をお父様が寝ずに看病してくれたらしい。

その時、こう言ったんだ。

―――どこにも行かない。ジュリがお嫁に行くまでは。―――

確かにそういったんだ。


「どうかしたのか。」

「なんでもない。」

「俺がずっと横についてるから寝ていろ。」