「ジュリ。バルニエール家の当主のことなんだが。」

伯父様が私に話しかける。

本来なら、私は女子なのでフレッドが継ぐ予定だったが、今はフレッドもいない。

きっと、お父様方の弟、オーレリアン叔父様が継ぐことになるはずだけど。

「オーレリアン・バルニエール子爵と話したんだが、ジュリに当主になってもらうべきじゃないかと話している。」

なぜ私なのだろうか。

女性はダメなのではないのか。

そんな、疑問が駆け巡る。

<俺が、操った。お前が当主になれば自由がきくだろう?話を受けろ。>

私はあわててレッドに返事を返す。
<わかったわ。>

そして、前を向いて、伯父様に返事をする。

「わかりました。私、ジュリエッタ・バルニエール、そのお話お受けいたします。」

その返事ののち、伯父様は黙ってわたしを抱きしめた。

ぎゅっと強く。でも、苦しくない程度に。

「伯父・・・様?」

「ジュリ、これからは、汚い貴族社会を見ることになる。ただでさえ、君はまだ、15歳で女性だ。子供だとなめられるに決まっている。それでも。負けないでくれよ?」

「はい。」

私は確かに頷いた。

これから先も、伯父様達家族や、わたしを狙ってくる人間はいるだろう。

その中には、復讐する相手もいるはず。

復讐のためにも私は歩かなくてはいけない。

一歩でも前に。