「いえ…大丈夫、です。」
やばい、泣きそう…。
腕に力を入れ、涙をぐっと抑える。
「大丈夫じゃねえじゃん。保健室、行くぞ。」
え?っと振り返ると同時に手を引かれる。
保健室に着くと、
「おーい、二宮?」
いねーの?とづかづか入って行く彼の手にはしっかり私の手が握られていた。
「あ、あの…手…」
と思わず耳まで熱くなる。すると、彼はニヤっと笑い、俗に言う"恋人つなぎ'に変えて来た。
「お前、これくらいで赤くなるとか面白え。」
と笑った彼。
…これでもかってくらい熱が上がっていくのがひしひしとわかった。
「おらおら、平野。加藤イジメんなよ。」
ガラッと入ってきたのは私の大っ嫌いな保険医。
加藤、という名前を聞いた時少し彼は顔を歪めたように見えた。
「げ…、なんでいるの、二宮。」
あからさまに拒絶の顔をした私。
「そーんな顔しても俺を誘ってるようにしか見えませーん、」
「変態教師。」
パッと彼(平野?)の手を離し、保健室を素早く離れた。
「何、平野が女なんて珍しい。」
「…別に。ただアイツの目が俺と似てた…から。」
「ふぅん。」
「てめぇはロリコンかよ。」
「んふふ、さぁね?」
