もう2度と恋なんてしない。

そう思ってたのに。






「こっちこっちー!パスー!」なんて声が外で響いている。
1年A組から見える運動場は輝いていた。

こんな、真冬の寒い時によくこんな走ってられるなぁ…。
私、絶対無理。
鳴り響くチャイムは輝く運動場と私を切り裂くように席を立った。

「葵依ー!きいてよー!」
パタパタと近づいてくる足音。きっとこんな可愛く走れるのは、あの子しかいない。
息を切らして目の前で怒ってるのは友達の美紗。
良く言えばクール、悪く言えば無愛想な私には正反対。
良くも悪くも女の子らしくて小さくて可愛い、そんななんでもズバズバ発言タイプの美紗を私は羨ましく思う。

「なんかねー、知らない女子と和磨が話しててさぁ。美紗が"この子だれ?"って聞いたらその女が和磨に聞こえないように"和磨から私のこと聞いてない?"なんて意味有り気に呟いて…。」