「ご、ごめんなさい!」 そう言って逃げて行った彩羽の後を目で追い、俺はその場に立ち尽くした。 彩羽の行った方向には……稜也か。 俺は水中からの顔をだし、空を見上げた。 雲一つ無い真っ青な夏の空。 鮮やかすぎる空とは裏腹に、彩羽が気になりすぎている自分にむかつく。 出会ったばかりなのに。 それでいて俺達は兄妹だ。 意識なんて、してはいけない。 稜也、彩羽を意識するな。 俺もしないから。 そう思いながら俺は拳を水に叩き付けた。