顔をあげて想司を見ると
笑いながら大きな手で頭を撫でてくれた
それに答えるかのように腕を腰に回し
想司の心臓の音を聴く
トクンッ トクンッ
一定のリズムで刻まれる心地よい音色
次第に私の心臓もリズムを合わせるように
ゆっくりと、想司の心臓に重なりあう
電話を終えた想司が私の手を掴んだ
もう一度顔をあげて想司を見る
『用事してくる、夜までには戻るから』
『まりあは、大人しく待ってろ』
私がうなずくのを確認すると
早々と用意をして、出掛けた
玄関の扉がしまって数分後に
想司の愛車のエンジン音が聞こえる

