少し何かを考えた想司が ため息をつきながらソファーに 深く腰を掛ける、ピリピリした空気に 妊婦特集のテレビ音だけが響く 『まりあ』 ゆっくりと、低い声が空気をさく 想司が考えてることが嫌なくらい分かる 返事をするのをためらったら 想司の携帯が無機質な音をたてて ガラステーブルの上に踊る 『チッ』 舌打ちをしながら、想司が電話に出る 想司の声が遠くなっていく ただ、立たずんだまま 電話が終わるのを待った