いちごアメ




時間とはすぐに過ぎるもので、待ちくたびれたような来てほしくないような放課後になった。


「ココで合ってた」


玲央が私の教室へやってきた。

ヤバい、なんか緊張してきた。


「玲央…もぅやめようか…」


緊張してたハズなのに、変な冷や汗が流れた。


「凜、どうゆうこと…?」


玲央の黒い真っ直ぐな瞳が一瞬揺らいだ。


「玲央…と友達やめる……」


あれ?笑って『さよなら』と言おうって決めてたのに、

この先の言葉が言えない。

笑えない。

涙だけが溢れ出てくる。


「玲央…、バイバイ…」


チュ…と唇と唇が重なるリップ音。


「玲央…最低…」


その言葉とともに、走り出した。


好きだよ、玲央。

今の空は、茜色の明るいハズなのに悲しげな空だった。


「玲央…、本当にさよなら……」


帰り道の途中のあの川原に向かって、少し微笑んで小さな声で呟いた。

胸の痛みはチクチクするような痛みじゃなくて、スースーするような痛みだった。