「こちらが写真の引き換えとなります。お帰りの際にレジにお出し下さい」
「はい」

そう言うと、スタッフは奥へと消えた。

「条件って…今の?」
「そ。恋人達の愛の深さをそれで確かめ合うんだって。欧米ではバレンタインは恋人達の大切な儀式の日。プレゼントも男でも女でも関係なく、恋人に贈るものだから」
「……だから、来たの?」
「後は優花の幸せそうな顔を見たかったから。お前はチョコレートを食べる幸せそうな笑みを浮かべるからさ」
「史也。これ、全部食べていい?」
「いいけど、太るぞ」
「大丈夫。今日だけだし」



一つ一つ、甘い甘い史也からの愛を感じながら優花は食べていった。



「優花。こっちにおいで」

ハテナマークが頭の上に浮かべながら近づく。


そして……

ペロリ。


「ひゃっ。な、何?」
「チョコ、付いてたよ」
「だからって」
「反対側もなんだけどな……」
「じ、自分で取るからいいよ」
「つまんないよ。せっかくのバレンタインなんだからさ」

そんなことを言う史也をよそに優花は一つ一つ口に入れて行った。チョコレートが付かないように慎重になりながら……。