淡い茶色の髪が春風によって揺れ
小さな顔にぱっちり二重の目
長い睫毛が影を落とし
すっとのびた高い鼻
白い肌に映える赤い唇
無駄な脂肪が一つない細い体
ジーンズに白のTシャツ
その上から紺のパーカーを羽織っていて
胸元に光るシルバーのネックレスが

彼の魅力をより引き立てた



「ねー なにしてんの?」


少し低い低音ボイス

だけどどこか甘い感じがする声



「友達を… 待ってます…」



ナンパなんて初めてじゃないのに


どうしてこんなにも


心臓の動きが早いの…?




「まじかよ。はぁー あいつら最低だな。
あ、俺 和泉千隼。遅れてごめん」


「え?あなたが千隼くん?」


「うん。あんた佐々木柚葵でしょ?」


「そうですけど…」


「良かった、人違いじゃなくて。
あ、俺のことは千隼でいーから」


「あたしもゆずって呼んで下さい」


「柚葵」


「え?」


「柚葵って呼んじゃダメ?」


「いいけど…」


「じゃ、柚葵で」


「うん」




不覚にも、彼に名前を呼ばれた時
“ドキン” ってした


そう言えば誰かにちゃんと
柚葵って呼ばれるのは初めてかも


そう思うとまた心臓がドキドキしてきて
身体中が熱くなってきた


なに… これ?
あたし病気?
風邪になったわけ?


身体中がなんだかおかしい…




「おい」


「きゃ!な、何よ」


「お前、俺の話し聞いてねーだろ?」


「は、話しって?」


「だから、優雨と瞬はどこって? さっきから全く携帯繋がんねーんだよ」


「あ… あの2人ならあのジェットコースター乗りに行ったよ。多分もう少しで戻ってくると思うよ」


「あいつら柚葵置いて2人で行ったのかよ?」


「あたしは気分悪くなったからパスした の」


「マジかよ… で?体調は?大丈夫?」


「ま、なんとか」


「そう。ならいーけど」




なんなの、これ
すっごくドキドキするし
やたら緊張するんだけど!

しかも、優雨のこと呼び捨てにした時も 何故かすごくイライラした

2人は幼馴染だから呼び捨てにするぐらい普通なのに…


あたし本当どうしたんだろ…