なんで私泣いてるんだろ?
こんな小さな嘘
今まで生きてきた中で
たくさんしてきたじゃない
嘘ついてるのがバレても
別に泣かなかったのに
こんなに悲しくなかったのに
なんで、この人の前だと
こんなにも醜くて汚い感情を持った
自分を見て欲しくないんだろ
「柚葵」
甘くて、少し低い声で
私の名前を呼んでくれて
「ごめん」
私の頬を伝う涙を拭って
「別に泣かせたくて言ったんじゃないんだ」
小さな子供にするみたいに
私の目線に合わせて
「でも、泣くぐらい傷つけたんだな。
本当にごめんな」
少し苦しそうに謝るあなたが
歪む視界に映るから
何だか切なくなって
「柚葵、ごめんな」
謝ってくれるあなたに
小さく首を横に振り
「私の方こそ嘘ついてごめんなさい」
少し笑ってみた
私が笑えば
あなたも笑ってくれる気がしたの
「ありがとう」
そう言った後に
やっぱりあなたは
心があったかくなるような
優しい笑顔を私にくれた
あなたには笑顔が似合う
世界中の誰よりも
あなたの笑顔が一番輝いてみえる
真っ暗な闇に差した
たった一つの
あたしの光でした
