「あはは!柚葵マジおもしれー!
本当に飽きねー奴」
「なにが?」
「確かにこれじゃ手出せねーわ」
「だから!何のことよ?」
さっきから聞いてたら意味わかんないことばっかり言って勝手に笑って…
あたしバカにされてんの?
そんな想いを込めて千隼を睨むと
「っ!」
今まで見たことない
優しくて、あたたかくて、甘い瞳が
私を映していた
「なんでもねーよ。ばーか」
そのまま大きな手がすっと伸びてきて
私の髪に優しく触れた
その、大きな手が
あまりにもあたたかくて
胸がぎゅっと苦しくなって
泣きたくなった
「どーした?」
その声すら優しい気がして
「なんでもない」
そう答えるだけでも
声が震えている気がして
どうしてこんな気持ちになのかも
全くわかんなくて
「気にしないで」
作り笑いすら苦しくなる
いつもは何でもないのに
どうしてこの人の前だと
こんなに胸がぎゅっとして
苦しくなるんだろう
