どちらともなく、唇を寄せ、頬を擦り合う。 虎助が触れた場所全てが熱を上げる。 全てを感じたいと、敏感に反応する。 本能のままに。 呼吸も、体温も、心臓の音も身体に刻み込む。 余裕なんてない。 「虎、助、」 お互いを感じることに、必死だった。 気持ちをぶつけることに、必死だった。 「名前を、」 奈落の底に落ちていくような感覚。 だけど、貴方となら――、