藤城家は家族そろって食事をすることはめったねにない。 それは、俺が小さい頃からそうで、全員仕事だということは分かっていたから特にどうということもない。 でも今日は珍しく、母さんがいた。 「あ、母さん。 帰ってたのか。」 「そうなのよ。たった今ね。」 母さんは言わば、父さんの右腕。 「仕事が出来る女」を絵に書いたような人間だ。 一応、この会社の副社長をしている。 今日は、アメリカの支社に居たようだ。