そして、帰りに男3人、女2人の小学生は、『キューピッドちゃんのお家』の前まで来た。家を目の前にして息をのむ。
周りでは、商店街の活気があり、左手にはお魚屋さん右手にはお肉屋さんがある。
真ん中には、『キューピッドちゃんのお家』それは、やっぱり変な組み合わせで奇妙にしか思えない。
どこもお客さんが居るのに、真ん中だけポッカリと空いた様に誰も寄り付かない。
5人目の前には、一軒家の赤い屋根の普通のお家。
ドアノブから上を見上げ、小学生5人はインターホンをみる。
石の階段が2、3段あり、コンクリートで固めてある灰色の地面を1、2歩歩いた所にドアと、ポストと、インターホンがある。
ちょっとの間5人は固まっていたが、1人がボソリと呟いた。
「い…居るのかな?」
「い…居るだろ」
5人は1人1人ぽつりぽつりと喋り出す。
「お前行けよ…」
「い…嫌だよ。お前が先に言い出したんだろ」
「もういいじゃない。みんなで行きましょ」
小学生5人が、おずおずと前に行く。
ドアの前まで来た。
「いいか…押した瞬間に急いで逃げるんだぞ」
1人の言った言葉にみんなは、顔を見合わせ頷く。
「い…いくぞ」
1人の男子は、少し背の高いとこにあるインターホンの近くに左手をやり人差し指をインターホンに近付ける。地面から踵を上に持ち上げ背伸びをする。
周りのみんなは、団子状に引っ付いて、インターホンを押した瞬間を逃さないとばかりにみんなジーっと真剣な目でインターホンを見る。
「い…いくぞ」
2度言ったことに痺れを切らした1人が、突っ込む。
「早くやれよ」
「分かったよ…」
そして、ゆっくり押した。