「に…西園さん?」
「赤松君?」
女の子は、彼…赤松を見る。
赤松翔吾(あかまつしょうご)は、西園まり(にしぞのまり)のことが好きだった。
赤松は、基本誰にでも喋れるタイプだが、逆に西園は大人しくあまり目立たないタイプだった。
でも西園の、控え目な可愛さに惹かれていた赤松は、今凄く困っていた。
お互いに名前を出したのはいいが、話の内容がこうゆう時に限って出てこない。
西園は「また明日」と言って帰りそうになる。
(まっ…待った。せっかく喋れたのに帰らすと話すチャンスはもうなくなる!)
そう思った赤松は西園を呼び止める。
「西園さん。(うわっ。何で引き止めてんだ俺。な…何喋ろう)」
西園は、呼ばれて振り返る。
「西園さん今日なんか用事ある?」
西園は首を傾げる。
「へっ…変な意味とかじゃなくって!実は『キューピッドちゃんのお家』に行くんだけど…良かったら一緒に…行かない?(うわー何言ってんだ俺!?)」
赤松は顔は普通に笑っているが、心の中ではかなりテンパっていた。
「行く…行きたい!」
西園は、赤松の言葉に赤松の近くまで来て言う。
「え!?こ…怖くない!?(マジで!?)」
赤松はまさかそんな言葉が帰って来るとは思わなかったのでビックリする。
「ちょっと怖いかも…」
「だよな~(絶対守る!!)」
「でもちょっと面白そうだし。キューピッドちゃんってことは恋を叶えてくれるのかな?…なんて」
と、クスッと笑う。
「え?西園さんってもしかして…好きな奴居るの?」
その言葉に反応する赤松。
「え?居ないよーただいいよね~っと思って」
西園は笑ってはぐらかす。
「(えーどっちだよ。)へぇ~。ま・行こうぜ。」
これ以上深い話は聞きたくなかったので赤松は流した。
「うん」