彼女自身は、この歓迎に戸惑っているように見える。



まぁ転校初日だし無理もないと思うが。



「はい、静かに!」



パンパンと手を叩いて先生が言った。



「席は…そうね、三鷹くんの隣が空いてるからそこにしましょうか。樹月さん、わからないことがあったら彼に聞いてね」



その言葉にクラスメイト全員が俺の方を向く。



ちょっとビックリした俺は



「な…なんだよ」



なんてカッコ悪いこと言ってたんだ。



「じゃあ樹月さん、席に着いてね」



そう言われて、彼女は指定された俺の右隣の席に座る。



間近に見てもやっぱりかわいいと思った。



「それじゃ、授業を始めます。教科書とノートを出して下さい。三鷹くん、樹月さんに教科書見せてあげてね」



月曜の一限は担任の古文。



俺は教科書を机と机の間に開いて置いた。



この時間は、先生の声が呪文みたいに聞こえて眠くなるから嫌いだ。



教室の中は静かになり、先生の声と、チョークの音だけが響く。



黒板に書かれた字を写す気にもなれない。



右手で頬杖をしたままアクビをして、隣をチラッと見た。