それがなんだか嬉しくて、可笑しくて、なんとなく笑みが零れた。



「蒼生くんの笑った顔、久しぶりに見た気がする。そんなわけないのにね」



さっきまで泣いていたとは思えないほど、凪柚は笑ってる。



それが強がりだって、顔を見ればわかった。



だって、楽しそうな顔とも、嬉しそうな顔とも違う。



俺が見てきた凪柚の笑顔は、こんなに悲しそうな顔じゃなかった。



「蒼生くん、なんか変な顔してるよ?」



「変な顔……?」



「うん。変なの。ここにシワ寄せてて、おじいちゃんみたい」



俺の眉間を人差し指で押さえながら、またその顔で笑った。



なんで笑うんだよ……。



俺だけが、弱くて、……何も出来ない……。



「なんで、そんな顔するの……?」



凪柚の左手が頬に触れた。



その手を、俺は両手で握って、凪柚を引き寄せた。



叫びたい程のこの想いも、凪柚には言わない。



まだ、一緒にいたい。



いや、ずっと一緒にいたい。



本当はずっと……。



















「……偶然と偶然が重なって、運命って……言うのかな……?」