凪柚の家の電話を借りて家に掛けた。



『もう!急に飛び出してったからビックリしちゃったじゃない!』



電話の向こう側で怒ってる母さんに謝って、帰りが遅くなることを伝えた。



電話を切ってすぐに「大丈夫だった?」と後ろから声がした。



「大丈夫だよ。ありがとな、凪柚」



俺の言葉に凪柚は首を左右に振って、また俺を見る。



「さっきの話の続き、する?」



「あ、ああ……」



凪柚に聞かれて、まだ気持ちは落ち着いてないのに返事をしてしまった。



俺、普通に聞いてられんのかな……?



階段を上がって「どうぞ」と凪柚が自分の部屋のドアを開けた。



「お邪魔します……」



なんか不思議な感じ。



凪柚の部屋は水色の小物がたくさん置いてあった。



少しイメージと違う、凪柚の生活している空間に俺がいる。



さっきから緊張しっぱなしな俺。



すごくドキドキしてる。



「なんか変な感じ。蒼生くんが私の部屋にいるって」



俺と同じこと思ってる。