日直の起立の合図でみんな立ち上がって、朝の挨拶。



そしてみんなが着席したのを確認して、先生は話し始めた。



「もうみんな知ってるかもしれないけど、今日は転校生を紹介します。入ってきて下さい」



その言葉のあと、教室の戸がガラガラと静かに開く。



みんなの視線が集中する。



そこにいたのは小柄で、透き通るような長い蜂蜜色の髪に、碧い瞳をした女の子だった。



間違いなく、昨日見たあの子だ!



昨日の願い事が、短冊に書いたわけでもないのに、叶ってしまった。



ゆっくりと黒板の前を歩く彼女を、俺はずっと見てたんだ。



別に変態とか、そういう意味じゃなくてね。



「じゃあ簡単に自己紹介して下さい」



先生に言われて、彼女はコクンてする。



「樹月凪柚です。父の仕事の都合で越して来ました。短い間ですが、みなさんよろしくお願いします」



そう言ってにっこりとする。



小さくて可愛らしい声に、最後の笑顔は反則だと思う。



たぶんこのクラスの男子はみんなやられたんじゃないだろうか…。


それから教室内に拍手と、可愛いと言う声が響いた。