「構わないわ。終わったら一緒にお茶しましょ?おいしい紅茶を用意するわ」



「じゃあ俺手伝います」



「あら、ありがとう」



凪柚のお母さんはそう微笑んで、階段を下りていく。



「頑張れよ、蒼生」



「ああ、ありがとう」



潤哉は俺の背中を叩いて、凪柚のお母さんの後ろをついて行った。



下の階のドアが閉まり足音も聞こえなくなってから、俺は凪柚の部屋のドアを叩いた。



「凪柚……蒼生だけど…」



やっぱり返事はなかった。



それでも胸の中に伝えたいことはあって、深く呼吸して口を開く。



「甲斐さんから聞いたんだ。凪柚の前世のことも、運命も…全部……」



ドアに当てたままの手のひらは少しずつ汗ばんでいく。



言いたいことも、聞きたいことも、たくさん…たくさん、あるのに……。



言葉が、出てこない。



ドアにコツンと額を当てて、震える喉から声を出そうと手を握りしめた。



「ごめん、凪柚…。信じるって言ったのに、俺、結局信じてやれてなかった……」