深く、遠くなっていく意識の中で、誰かが俺を呼んでる。



「……き…--そ……き…--蒼生!」



突然大きくなった声に、俺はビックリして目を開けた。



「ああ、よかった」



そう言った声の方を見ると、母さんが安心したような顔で俺を見ていた。



「何度も声をかけたのに起きないから、心配しちゃったわよ」



そう言って笑った母さんを見て、自分が眠ってしまっていたんだと気付いた。



枕にはしっかりと、涙の跡が残ってる。



「泣いてたの?怖い夢でも見た?」



夢だったらよかったのに…。



今日聞いたこと、全部が夢だったら……。



「怖い夢って、いくつだと思ってんの?違うよ。なんでもない」



溢れそうな涙を堪えて、母さんに言った。



「そう?」



まだ心配そうに聞いてくる母さんに



「大丈夫だって」



と笑顔を見せた。



母さんは



「ならいいけど」



と納得したように笑いながら立ち上がり、部屋を出ていく。