【中編】初恋マーメイド~空と海と君の物語~

「…呪い…?



一体誰に…」



「魔女。洞窟の魔女です。人魚姫が泡となって、もしまたこの世に生まれ変わったら…」



甲斐さんは言葉を止めた。



言い辛そうに口を開けては、また閉じる。



5時を知らせるチャイムが鳴った。



チャイムは静かな校舎に鳴り響く。



余韻さえもが消え去ってから、甲斐さんが重たい口を開けた。



「……18歳の誕生日を迎えたら、泡になる呪い」



……。



…………。



泡になる……?



……誰が?



……。



なんだよ……なんだよ、それ……。



凪柚はそんなこと一言も…!



……まさか。



「本人がそれを誰かに言ってはいけない。そして、最後が……」



「前世の想い人に……“好き”という気持ちを、告げられてはいけない……?」