「おばあ様がね、人魚だったの。信じてくれるかは蒼生くん次第だけど…」



凪柚はまた眉を下げる。



なんでそんな顔ばかり見せるんだろう…。



俺がさせてんのかな…?



確かに凪柚の言ってることは現実離れしてると思う。



でも、俺は凪柚の言ったことを信じてやりたい。



「なんでそれを俺に?」



そんなの、足の異常に気付いたからだってわかってる。



それでも凪柚が俺のことを信じてくれてるって思いたかったんだ。



「なんでって…」



凪柚が口を開いた。



言葉を聞くのが怖い。



俺は柄にもなくギュッと目を瞑った。



そうすると、瞼の裏で凪柚の笑顔が見えた気がしたんだ。



「そんなの…蒼生くんだったら信じてくれるかもしれないって思ったからだよ」



その言葉に俺はそっと目を開く。



顔を上げて凪柚を見ると、いつもみたいに優しく微笑んで俺を見てたんだ。



ヤバい…。



その顔はダメだって。



俺が弱いのわかっててやってるんじゃないかって思う。



今言ってしまいそうだ。



俺の気持ちを。



口にする前に、凪柚から視線を逸らした。