カーテンがふわふわと風に揺れてる。



ずっと俺の腕にいた凪柚を用意された椅子に座らせた。



「あなたたちは授業に戻りなさい」



先生の言葉に女の子たちは顔を見合わせる。



俺は首を横に振って拒否した。



授業になんて戻りたくない。



凪柚を置いて行きたくない。



そんなことばかり考えてる。



先生は小さくため息をついた。



「しょうがないわね。じゃあ三鷹くんも着替えてきなさい。あなたたち二人は授業に戻って。この子には私と三鷹くんがついてるから」



先生に言われて二人は



「お願いします」



と頭を下げて保健室を出ていく。



そのあとで俺も教室に向かった。



着替え終わって再び保健室に戻ると、凪柚も着替えたみたいで、俺の黒いジャージがハンガーに掛けられていた。



「あら蒼ちゃん早かったわね」



「蒼ちゃん言うのやめてくださいってば、瑞穂さん」



「柿部先生って呼びなさいよ」



頬っぺたを膨らませて若そうにしてるけど、この保健室の先生は俺たちの10歳も上だ。



俺が中学のときから知ってるから、すっかり蒼ちゃん呼ばわりされてる。