高校生活最後のプール。



あまりの暑さに、この大事な日を俺は大人しく見学することになった。



強い日射しにもかかわらず、みんな気持ちよさそうに泳いでる。



いいなぁ…。



座ってタオルを頭にかけて俯きながら、周りではしゃぐ声をきく。



なんでこんな日にダウンしたんだろう…。



泳ぎたくてしょうがないのに体がいうことをきかない。



こんなこと今までなかったのに…これが夏バテか?



まぁ、今日泳げないことにかわりはないからどうでもいいけど。



「また見学か?単位やらないぞ!」



「でも…私泳げなくて…」



周りが騒がしい…。



ただ何を騒いでいるかはわからない。



聞き覚えのある声なのに、気分が悪くて誰の声だかもわからない。



ため息を吐いて俺は顔を上げる。



急な明るさで、視界がはっきりしない。



今、ちゃんとわかるのは音だけ。



「足は着くだろう!いいから入れ!」



その声のすぐあとで



『ドボン!』



ってプールから鈍い音がした。



さっきよりも周りは騒がしくなる。