HRが終わると同時に、俺は教室を出た。



帰る支度も何もせず、2年生の教室がある3階に向かう。



甲斐さんに“ごめん”を言うために。



階段を降りると、数名の2年生が廊下に出ていた。



甲斐さんがどこのクラスか知らない俺は、近くにいた男子に彼女のクラスを聞く。



教えてもらったクラスに向かうと、ちょうど甲斐さんが出てきたところだった。



甲斐さんは俺に気付いたのか、こちらに向かってくる。



「こんにちは」



と、挨拶されて俺も同じように返した。



俺がここに来たってことは、手紙の返事だということを、彼女もわかっていると思う。



ここではマズイと思って、場所をかえることにした。



普段あまり人が来ない屋上の手前の階段。



俺と甲斐さんは向き合ってる。



ただ“ごめん”を言うだけなのに妙に緊張する。



「あの…手紙の返事ですよね…?フラれるのわかってましたから、サクッとふっちゃってください…!」



黙ったままの俺に、彼女は笑顔で言った。



胸がズキリと痛む。



俺、サイテーだな…。