「ちょっと蒼生!帰ったならただいまくらい言いなさい!」



ノックもせずに、勢いよくドアを開けて言った母さんは、片手にお玉を持ったままだ。



「ただいま…」



小さく言った俺に、母さんは満足気に笑顔を見せる。



「ところで、なんでお玉持ったままなの?」



って俺が聞くと、母さんは



「あらやだ」



なんて言って、部屋を出ていった。



俺はため息を吐いて、起こしていた体を再びベッドに戻す。



今度こそ寝れる…。



そう思ってたのに、



いつの間にか部屋に入ってたピーチが飛び乗ってきて、



それさえも阻止されてしまった。



「ピーチ…お前は自由気ままでいいな…」



ただニャーと鳴くだけのピーチを抱き抱える。



そして仕方なくベッドから起き上がり、俺は一階へと、階段を降りた。



短い廊下を歩いてリビングに向かうと、



台所では母さんが鼻歌なんか歌いながら、夕飯の仕度をしてる。



俺はソファーに座って、テレビをみる。



それから膝の上にいるピーチを撫でた。