俺もすぐに駆け寄って、



「凪柚?」



って呼んだ。



それでもやっぱり返事はない。



一点を集中して見つめてる感じ。



たぶんその一点は彼女だろう。



知り合いかどうかも、



どんな関係があるのかも俺にはわからない。



ただ、返事のない凪柚が心配で、凪柚の肩をポンッと叩くと、



「ひゃっ?!」



って、俺が知ってる中では、きっと今までで一番大きな反応だと思う。



それくらいに、凪柚は驚いていた。



「…ごめん」



俺が謝ると凪柚は首を横に振って、



「こっちこそごめんね…」



と、しゅんとして言った。



教室に戻ってからも、凪柚は黙ったまま帰り支度を進める。



大丈夫かなぁ…。




「モッテモテな蒼生くん、かっえりましょ!」



そんな俺の心配をよそに、潤哉はふざけて俺の頭に荷物を打つけてきた。



「…て、んめぇ…」



「わりーわりー。痛かった?」



聞かなくても見りゃわかんだろ!



と、心の中でツッコミを入れる。



俺が睨んでるにもかかわらず、潤哉は相変わらずヘラヘラしてる。