HRも終わって、凪柚は友達とトイレに行くと、教室を出ていった。



下敷きで扇ぎながら、俺は帰り支度をする。



「蒼生!」



廊下側の席の奴に呼ばれて俺はそっちを見た。



「2年の子がお前に用あるって」



こういうのって漫画とかではよくある光景だと思う。



それをきいたクラスメイトたちが俺の方を見て、



「告白か?」



とか



「モテモテだな」



とか、勝手に盛り上がってた。



「うるさいなぁ。お前らいいから、早く帰れよ」



呆れ気味に言った俺の言葉は逆効果だったみたいだ。



さっきよりも笑いが増えてる。



「はぁ」



と、ため息を吐いて、俺は廊下に出た。



そこに立っていたのは、赤い髪をした女の子。



その身長は、凪柚よりも小さく見える。



俺は教室の後ろの戸と柱に両手をついて、中からは見えないようにした。



言ってしまえば、帰る奴には邪魔な体勢で、



「何?」



と、なるべく明るく言ったつもり。



でもその子は一瞬ビクッとして、下を向いてしまう。



どうしていいかわかんなくて、口を開こうとした時だった。