プールの周りには日陰がない。



見学者もだいたいは、プールに足だけ入れてたりっていうのが多い。



でも、凪柚だけは柵に寄り掛かって座ってた。



「凪柚!」



この暑さのなか、直射日光を浴び続けるのは危険だと思う。



心配になった俺はプールから上がって、凪柚のところまで行った。



その白い肌が少しだけ赤くなって見える。



「ここ暑いだろ?凪柚もこっちおいでよ」



俺の言葉に、凪柚は首を横に振って



「ここがいい」



って言った。



どうしても動く気はないらしい。



「ちょっと待っててな」



俺はそう言って、反対側の柵に掛けてあるTシャツとタオルを取りに行った。



まだそこに置いてから何十分と経ってないのに、俺のTシャツもタオルも熱くなってる。



それらを広げて、熱を逃がしながら凪柚のところに戻った。



「焼けるからこれ着て、あと、タオル被ってな」



俺は手に持っていたTシャツを凪柚に渡して言う。



その青い無地のTシャツは、小柄な凪柚には大きすぎて、袖は肘くらいまで、裾は膝上くらいの長さになった。