だけどその女の子は今、俺の傍にはいない。



これが現状だ。



それ以来、俺にはちゃんとした女友達なんていなかった。



俺のせいで凪柚まで傷つけたくなんかない。



どうすれば凪柚を巻き込まずにすむ…?



そう考えながら、止めてた足を動かす。



その一歩一歩が重い。



玄関に着いた時、凪柚は先に靴を履き替えて待っていた。



「遅くなってごめんな」



俺の言葉に凪柚は首を横に振る。



「大丈夫だよ」



って笑顔で返してくれる。



凪柚の笑った顔が好きだ。



巻き込みたくないけど、距離も置きたくない。



さっきから立ち止まったままの俺を心配してか、



凪柚が側まで来て俺の顔を覗き込む。



心配そうに見つめてくる凪柚の顔をまともに見れなくて俺は目を逸らした。



凪柚は気を悪くしたかもしれない。



でもそんな顔で見られると、照れるから。



今までにないくらい心臓がドキドキいってるのがわかる。



深呼吸して無理矢理自分を落ち着かせた。



そして何もなかったかのような顔で、凪柚を見る。