「どこから来たの?」



とか



「どこに住んでるの?」



とか、転校生に興味津々な質問が飛び交ってて、凪柚は明らかに困った顔で笑う。



なんかそれが見てらんなくて



「困ってんじゃん」



って俺は思わず口を挟んでしまってた。



「別に質問するのが悪いってわけじゃないけど、なんていうか…もっとこう…相手のことを考えてっていうか…」



話し始めたのはいいけど、巧く言葉を纏められない俺の気持ちを、みんなは理解してくれたみたいで、



「ごめんね」



と凪柚に謝ってくれた。



凪柚は首を左右に振って笑顔を見せる。



それから俺の方を見て



“ありがとう”



って口パクで言ったんだ。



俺の弱点になるかも…。



出会ったばかりの凪柚の存在は、俺の中ではすでに大きなものになってた。



「お前なにニヤニヤしてんだよ。気持ちわりぃな」



耳元で言った潤哉の首に腕を回す。



それから潤哉がギブと言うまで、俺は関節技をかけた。



みんなは俺たちを見て笑う。



まぁいつもこんな感じだ。



凪柚もこの光景を見て笑ってた。