「そう言えば昨日、海沿いの道を歩いてなかった?すれ違ったの、たぶん三鷹くんだと思うんだけど…」
彼女は首を傾げて俺に聞くんだ。
やべぇ…すっげぇ嬉しいんだけど!
覚えててくれたんだ…って心の中で喜んだ。
「いたいた。てっきり忘れてるんだと思った」
俺は感情が顔に出ないように、必死に堪えて言った。
彼女はクスクスと笑って
「だって昨日の今日だよ?覚えてるよぉ。でも良かった。間違ってなくて…」
ってホッとしたように言ったんだ。
「三鷹くんじゃなくて蒼生でいいよ。呼び方」
「本当に?じゃあ私も凪柚で」
嬉しそうに目を細めて笑う凪柚がかわいくてしょうがなかった。
うっすら見える碧い瞳がすごく綺麗なんだ。
「おーい。何楽しげにしてんだよ」
そう言って、潤哉がいきなり後ろから抱きついてきて、
その勢いで俺は、机に思いっきり頭を打つけた。
今日はなんなんだよ…!
時間の経過を忘れて、凪柚と話すことに夢中になってた俺への天罰か…?
気が付けば一限は終わってて、数名のクラスメイトが凪柚の席の周りに集まってた。


