少女のこめかみの傷自体は深くはなくすぐに乾き始めた。
足首は腫れ上がり明らかに捻挫もしくは骨が折れてるかもしれない。
一也が運転する車は滑るようにして成田のところへ着いた。
ふたりで両脇を抱えて診療がとっくに終わった待合室へ運んだ。
「頼む成田!」
「うるせえな、なんだよ。あ??」
小汚い成田がくわえタバコのまま出てきてポロリと取り落とした。
真顔になって少女の脇に立ち膝をついた。
「サチュレーション持ってこい」
「あ?」
「早く!あと、血圧計!」
成田が少女のワンピースのボタンを開いた。聴診器を当ててそれから手首を取り脈を測る。
「持ってきた」
「貸せ!」
「人使い荒いな」
「んなこと言ってる場合か」
血圧や脈、サチュレーションを測ると成田はいつも通りになった。



