山田児童公園のすぐ脇の道だが、T字角で見えにくい。
「おい、一也ここだ!」
「え?ちょ、その女の子はどうしたんですか?」
「跳ねられた」
「仁さんもですか!?」
「いや、俺は吹っ掛けられた喧嘩を買っただけだ」
訳がわからず頭に??マークを並べている一也に手を貸してもらい、少女を後部座席に横にした。
「仁さん、よくわからないです」
「ああ、実は俺もよくわからねえ」
わかってんのは、胡蝶蘭の鉢植えが少女の脇で割れたことと、ひき逃げ犯人が無免許の若いやつだってことだけだ。
「一也、成田のとこに頼む」
「もう向かってます」
とりあえずは意識を失った少女を医者に見せるのが先だ。
「血で前がよく見えねえ。瞼の血が止まらねえや」
ぐいと拭い、一也の首から無理やり奪ったネクタイを瞼の上に結んで止血した。
.



