不意討ちを食らい腹にも一発浴びて、痛ぇし頭に来るわで思いっきり暴れた。

さすがにひとりで5人相手するのはキツく、瞼が切れて目に血が入りよく見えない。

倒すのに手間取った。


「ちっ、まるで幽霊でも見たような顔しやがって」

痛てぇ。


瞼の切れた傷は深くはねえが出血が止まらねえ。肋がヒビが入ってるか多分折れている。

動くと鈍い痛みが走った。


「おいおい、冗談じゃねえぞ。ひき逃げかよ」


無免許だと話してた若い男ふたりは急発進して逃げていった。


「ちくしょ、」


赤いテールランプがすぐに見えなくなっていく。



「ちくしょ、おい」


脇腹を押さえて撥ね飛ばされた少女の傍へと近寄っていく。


「おい」

返事もしなければピクリともしない。


「やべえかもな」