こめかみに絆創膏。
左足首に捻挫。ちょいと酷い捻挫だ。数日は歩かない方がいい。
記憶がない女を一也の運転で屋敷に連れて帰った。
「あ、仁お兄ちゃん」
敷居を跨いで前にいたりおにきょとんとされた。
「え、と。仁お兄ちゃん、隣の女の子はどちらさま?」
初めて連れてきた女をりおのくりくりした瞳が覗いた。
拾ってきた女が俺の背中に隠れたがそれでも必死で我慢して半歩前に出た。
「あの、わたし。自分のことわからなくて」
「え?」
「りお。こいつ、車に跳ね飛ばされて記憶一時的に無くしてんだ」
「え?」
「若のやつが俺に面倒を見ろってや」
「うそ、」
りおが目を丸くした。
ホントに冗談じゃねえそ。
女なんてどうやって面倒を見ろってんだ。
一発やりゃいいって問題でもねえだろ。
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