―――まったく


厄介なものを拾っちまったぜ。



背中に重い荷物を背負ったようだ。
重くて振り向きもしたくねえ。



はあ。


なんで俺が。


俺には手のかかる若とりお、まだ子供なひかるがいるのに、何が悲しくて……






「仕方ねえな」

来いよ。


振り向いてしゃがみこんだ少女に手を差し伸べた。


「い、いの?」

「若がいいって言ってんだ何も問題ねえだろ?
ただし、記憶が戻るまでだぞ」

「うん」

「どら、手を出せよ」


電話器を横に置いて俺の手を震える手で掴み立ち上がる。


「襲われても知らねえからな」

「仁、」


わかってるや。
こんな年端も行かねえガキに欲情なんかしねえよ。

笑い飛ばして少女を横に立たせた。



「俺の名は天宮仁」

じんって呼んでくれりゃあいい。



こうして。

記憶がない少女を屋敷へと連れ帰ることにした。



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